2020-06

6/9 横張研・寺田研合同でオンライン・ミニワークショップを行いました

6月9日、Web会議サービスのZoomを用いて、横張研と柏キャンパスの寺田研合同で、オンラインワークショップを実施しました。
研究室に関心を持ってくれている外部の方も数名参加してくださり、総勢28名でのワークショップとなりました。

前半では、日常生活の変化や課題について、全員で共有しました。そのために、事前に以下の質問を考えてきてもらいました。
1)コロナウイルスの影響で生活はどのように変化しましたか?
2)健康に対する意識はどのように変化しましたか?
3)大学の役割とは?
当日はウェブ上のワークショップツールMiroを使い、ポストイットを貼り合わせて簡単な分類を進めました。その結果、下図のように多様な意見が集まりました。その中からおおしろい意見(例:過食になった人と少食になった人の意識の違いなど)をいくつかピックアップして議論を行いました。その中で「コロナウイルスはいつ収束すると思うか」という議論になり、そもそも人によってその前提が異なるのではないかという話題も上がりました。

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続いて、後半では4つのグループに分かれでディスカッションをおこないました。

グループ1:Emerging urban spaces / disappearing urban spaces(立ち現れる都市空間/消えゆく都市空間)

グループ1では、ウィズコロナ、アフターコロナ社会に現れる都市空間、消える都市空間についての議論を行いました。グループ・ファシリテーターからの簡単な話題提供のあとに、参加者それぞれから、どのような都市空間が現れ、消えていくのか自由に意見を出し合いました。

次に、public / private と physical / virtual という、2つの評価軸を考え、みんなのアイデアを整理しました。その結果、消えていく都市空間はpublic・physical に集中しているのに対し、現れる都市空間は様々な領域に広がり、アフターコロナの都市空間が多様化することが示唆されました。
他にも、下記のような論点が参加者から提示されました。
・「都心ー郊外」という評価軸も考えられるのではないか
・バーチャル空間の欠点である、デジタルディバイドの懸念や偶然性の低さなどをどのように補うべきか
・ローカル重視の中、住宅の空間/住宅周辺はどう変わっていき、どう作り変えるべきか

最後に、都市のみどりを扱う研究室としては、需要が高まり高密度化する公園を、どうやってアフターコロナに対応させるか?今後増えるだろうプライベートな緑地を、どのようにデザインするか?という課題を考えていく事が重要だと話し合いました。

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グループ2:Imagining human interaction in after-COVID urban spaces (パンデミック後における人と人とのかかわり)

グループ2では
1.コロナ禍にみる人とのかかわりに関して経験したこと・感じたこと
2.将来の方向性に関する解決策の提案
の2点について議論しました。

1.に関しては、学生・社会人・教職員という複数の異なる立場から、「仕事・学業」や「ライフスタイル」におけるCOVID-19の感染拡大前後の変化を、オンラインに着目して整理しました。それぞれの意見を整理すると、COVID-19の世界的な流行の特徴として「世界中で同様の状況を有していることから醸成される共感・連帯感」が挙げられます。結果としてCOVID-19の影響は、「助け合いや支え合い」が強く意識された反面、「同じ方向を向かない人への排他的姿勢」が浮き彫りになったように、功罪相半ばすることがわかりました。
2.に関しては、主に「デジタルトランスフォーメーションが一気に進んだ」現象に着目した議論が目立ちました。こうした現象を「機会」ととらえれば、人間性を拡張する方向での技術の進展が期待されます。一方で、「脅威」としては不要不急な会話が減ったことによる疲労がメンバーの多くから指摘されました。加えて、個人情報をどのように管理すべきかについても、改めて重要な論点として浮上しました。
最後に、オンライン会議疲れといった意見を受け比較的カジュアルな内容に関して、研究室の垣根を超えざっくばらんに議論しました。具体的には、「オフィスやキャンパスの必要性」や「オフラインとオンラインの適切な使い分け」などについて率直な意見が飛び交いました。また、「緑豊かな郊外に住むことが合理的な選択になる?」といったような、我々の専門分野に通ずる議論も展開されました。議論の最中では、社会人ドクターのお子さんが登場するという、オンライン会議ならではのハプニング(?)も発生しましたが、終始リラックスした雰囲気で議論が進みました。

グループ3:Urban food systems after the pandemic(パンデミック後のアーバン・フード・システム)

『パンデミック後のアーバン・フード・システム』では、パンデミック期間の自分たちの食事、買い物の際に感じたことなど、身近な話題から議論が進みました。「料理を楽しむようになった」「直売所を利用するようになった」など、ポジティブな意見もあった一方、今まで大学の学食を活用していた学生は、自炊を負担に感じているという意見もありました。留学生が半数を占めたため、各国の状況についても話題にあがりました。

次にブラジルとアメリカのパンデミック期間の状況と日本を比較し、パンデミック後のフードシステムについて議論しました。生産側からの観点としては、パンデミック期間に、給食やレストランの営業が制限された背景から、供給先のアクセスが分散化されている農家の方が、安定して生産物を提供し続け、生計を維持することができるのではないかという意見がありました。消費側としては、日本のように直売所など、消費者のアクセスポイントも多様であることが、実際に今回のパンデミック期間中に役にたったが、それを活用できるかは、食材の価格と、個々人の意識づけが重要であるという意見がありました。

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グループ4:Division and inclusion under COVID-19(パンデミック下の社会的分断と包摂)

グループ4は、「パンデミック下の社会的分断と包摂」というテーマで議論を始めた。「自粛期間中、会いたくない人に会わなければならない状況があったか?」という参加者から問いかけがありました。それに対して、誰もそのような状況には出会っていないことから、自分と価値観の異なる人々と出会う機会が無くなることの危険性が示されました。それは例えば、そのような偶然の出会いから、自分自身が変化するきっかけ等が生まれることを想定できるからです。一方で、「見たくないもの」を見てしまった状況は何人かが経験していました。それは長距離ドライバーや医療従事者への差別などです。このような現状を知ることから、人々は変化するきっかけを得られるという話になりました。

ここから次に、「テレワークがある程度普及した現在、出社は何のためにするのか」という問題に繋がりました。環境を変えることで自分の職務を再認識するためという回答や、知らない人と出会うためという意見が提示されました。また、隣に座っているだけでも仲間意識が育ち、仕事の効率が上がるという意見も挙がりました。そのため、これからのオフィス街は人と人の交流の場としての機能が期待されていくと考えました。

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2020-06-22 | Posted in 未分類No Comments »